100K Ultra Training

初めてウルトラを目指す人にも!ベテランランナーにも!

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矢田夕子コーチのウルトラマラソントレーニング

第3回 ベースとなる身体を作ろう

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ここ2回の連載では、トレーニングの計画や栄養面について、トレーニング中に身体の中で何が起こるかをお伝えさせていただきました。

トレーニングの指標となる、AeT値、AT値、みなさん覚えていますでしょうか?
忘れてしまった方は、前の記事で確認していただけたらと思います。

連載第1回 トレーニング計画
連載第2回 ランニング時におけるエネルギー代謝

さて、どんなレースでもそうですが、まずはベースとなる身体づくりが重要です。
走れるようになるためには走ることが必要ですし、脂質を使えるような身体づくりはどのレースでも基本になりますので、まずは「LSD」を行います。

LSD、皆さんも聞いたことがあると思いますし、もちろん行っている方もいらっしゃることでしょう。
Long Slow Distanceの略で、要はゆっくり長く走りましょうということです。
その時に大切なのはAeT値付近で走ることです。お喋りしながら走れるスピードです。
AeT値付近は脂質代謝が高まるラインですので、その付近で走ることによって脂質代謝の回路が回りやすくなります。

普段から走っている方は、走る時間を徐々に延ばしてください。
脂質代謝のピークを考えると3時間程度は走れるようになりましょう。

ここ最近走れていない方や、走ることを最近始められた方は、まず「走る」という行為を習慣化することが重要です。
「練習頻度」は少なくても怪我をしやすく、週4回程度は身体への刺激があった方が実は怪我しにくいので、週に4回走れる時間を確保しましょう。 また、いきなり時間を延ばすのではなく、走る時間、走る頻度を「徐々に」増やしていく、この「徐々に」がとても重要です。

ウルトラマラソンを走り切りたい!と、肩に力が入っていきなり目一杯走ってしまうと怪我の可能性が高くなります。
10分走れたら15分に、15分走れたら20分に、という感じで延ばしていくことを心掛けましょう!

コラム:トレーニングと食事を合わせましょう

脂質、糖質など主なエネルギー源はトレーニング強度によって変わると前回お伝えしていますが、トレーニングによって摂取する食事内容を合わせるとトレーニング効果がさらにアップします。

AeT値付近のトレーニングが多い時期・・・脂質代謝がメインなので脂質量を増やす
AT値付近のトレーニングが多い時期・・・糖質代謝がメインなので糖質量を増やす

脂質を増やすというのが難しいかとは思います。
良質な脂質、いま話題の中鎖脂肪酸や短鎖脂肪酸を多く含むバターやチーズを食事と一緒に摂ったり、MCTオイル(中鎖脂肪酸油)を直接スープなどに入れて摂っていただくのが良いと思います。
初めはお腹がゆるくなるので徐々に増やしましょう。

トレーニング強度が高くなると糖質がメインですので、食事で糖質を制限し過ぎてしまうとパフォーマンスが低下します。
トレーニング効果をさらに向上させるために、食事内容をぜひ工夫してみてください。

トレーニング指導:ジャパンウルトラマラソンチャレンジシリーズ公認コーチ・矢田夕子

実業団選手(パナソニック女子陸上競技部)を引退後、鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師の資格を取得し、2017年4月より東京都多摩市にトレーニング兼治療院施設「TREAT」をオープン。競技者としての経験も活かしながらトレーニング&ケアを市民ランナーに指導している。自身もトレイルランニング、ウルトラマラソンを中心にランナーとして活動中。2016年野辺山高原100kmウルトラマラソン・優勝。2019年サロマ湖100kmウルトラマラソン・8時間33分47秒。ザムストブランドアンバサダー。