100K Ultra Training

初めてウルトラを目指す人にも!ベテランランナーにも!

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仲田光穂選手の「私のウルトラマラソン」

第3回 ペースは抑えない。ウルトラマラソンは、心のままに楽しく走る!

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ウルトラマラソンの世界で、次々に快挙を達成している仲田光穂さん。楽しんで取り組んでいるウルトラマラソントレーニングの内容をお聞きしました。

レースは、走ってみないとわからない

―仲田さんの強さは、周りの人はどのように映っているのでしょうか。そのような強さはいつごろから、どのようにして身につけたのでしょう? 

「本番に強いね」、とはよく言われます。練習はジョグやマラニック中心でゆっくり走っているのに、本番ではいきなりレースペースで走るからですかね? 我ながら、そうだな、と思います。
私にとってレースは、やってみないとわからないもの。事前に走り切れそうなペースを考えるのではなく、抑えることなく、とにかく楽しく走る。後半キツくなり、200kmレースでは歩くこともありますが、そこは忍耐です。あまりあと先を考えず、走る前に不安になることもほとんどないですね。人より精神力が強いのか…いや、「にぶい」のかもしれません(笑)。
だからレース前も、練習量は落としますが、計画的にではなくて、調整はあまり考えていません。

生まれ育ったのは茨城の普通の町で、家では野菜やお米を作っていました。いまもお米は実家から送ってもらい、多少の野菜も一緒に届くので、栄養バランスのとれた食生活ができていると思います。小中学校では、バスケットボールをやっており、持久力はありましたが、特に高い能力があったわけではないです。でも両親が熱心だったこともあり、「始めたら最後までやり抜きなさい」と厳しく言われて育ったことで、今があるのかも。

―精神力のほかに、体力面での強さ、それについてはなにか自覚されていることがありますか?

最大酸素摂取量を測定したことがあります。
その際の説明はあまり記憶にないですが、「フルマラソンで2時間42、3分の力はある」と言われたことだけは覚えています。実際、フルのベストはそれより遅いため、近付けるよう頑張りたいです。

ウルトラマラソンに取り組むまでは、自分の強さを感じたことはありませんでした。始めてみると、2回、3回と走るうち、タイムが20分、30分と縮まっていく。走れば走るほど、また楽しみながら記録が伸びるので、なんて素敵な種目だ!と思いましたね。

週末ごとに、奥武蔵で超長距離マラニック

―仲田さんのウルトラマラソンでの強さは、なかなか数値化できないものかもしれませんね。前回、トレーニングのメインが超長距離走とお聞きしましたが、その練習について、もう少し詳しく教えてください。

土日の50km以上の練習は、マラニックが中心ですが、2つのパターンがあります。
まずは、ひとりで行う街ランです。早起きが苦手なので、11時くらいにスタートし、5、6時間かけて走ります。持ち物は財布、ケータイ、タオルと、最近は防寒の上着です。自宅発着が中心なので着替えは持ちません。信号では止まり、補給はコンビニで。故障や疲労が溜まらないペースです。往復70kmくらい走ることもありますが、「1人でよくそんなに走るね」などと言われますね。

もう一つは、仲間と遠出してのマラニックです。よく行くのは奥武蔵。「奥武蔵グリーンライン」という、奥武蔵ウルトラマラソンのコースにもなっているロードが好きですね。荷物を背負ってのワンウエイコースと、駅のコインロッカーに預け、駅に戻る往復コースの2つの方法があります。多い時は6、7人で走ることもあります。
東武越生線の東毛呂駅や、西武秩父線の横瀬駅が起点。かなり起伏もあり、これを行っていたことで足腰が鍛えられたと思います。でも決してつらい練習ではなく、仲間と楽しみながら走っています。

横瀬駅には武甲温泉があって、そこをめざして走ることもよくあります。汗を流した後は、名物のワラジカツと生ビール。ビールは大好きなので、それがニンジンになって頑張れることもあるでしょうね。
このトレーニングは、今は多いときで2週に1回のペースですが、2020年は一時期毎週のように行っていました。そのころ仕事が忙しく、残業も多かったのですが、実績もできてきて練習量も増えていた時なので、睡眠や食事時間、座る時間も惜しんで工夫し、練習時間の捻出をしていました。そのおかげで強くなれたのだと思います。最近は時間的余裕もできて、その分を身体のケアに当てています。

オーダーメイドインソールがお気に入り。1月のフルと200kmレースで好結果を目指す

使っているシューズは、フルマラソン用にはアシックスのターサーエッジなど。ウルトラマラソンには、アシックスのエボライドなどを使用、それにインソールを入れ替えて履いています。「カスタムバランス」というモデルで、レース用にはオーダーメイドで作っていただいたものを入れていますが、安定感があって気に入っています。

足裏のアーチなどのアライメントを適切にサポートし、足本来の機能が高まることで、パフォーマンスの向上にもつながります。

現在、1月に開催される2つのレース、ジャパントロフィーシリーズの第3戦200kmと大阪国際女子マラソン両方に向けてトレーニングを行っています。一方は距離の練習、もう一方はスピード練習が必要なため、週末土日を1日ずつ当てています。双方相反する練習内容になるのですが、自分では相乗効果で両方ともうまくいくのではないかと思っています。レースは、やってみないとわからないですから。

 

プロフィール:仲田光穂(なかた みほ)

中学までバスケットボール部に所属し、高校では陸上部(中・長距離)で県大会出場。大学で競技を離れるも、東京マラソン当選を機にランニングを再開。大学卒業後、公務員をしながら走り続けている。1989年生まれ、茨城県出身。数多くのウルトラマラソンで優勝し、「ウルトラマラソンの女王」と呼ばれることも。 フル 2h45 / 100k 7h40 / 206k 19h33 / 251k 25h14