100K Ultra Training

初めてウルトラを目指す人にも!ベテランランナーにも!

image

川内鮮輝選手の「ウルトラマラソンの世界へ、ようこそ!」

第1回 夢のウルトラマラソン完走を果たすには

supported by ZAMST

フルマラソンからウルトラマラソンへ

コロナ禍で多くのマラソン大会が中止となっている中、ウルトラマラソンも例外ではなく、そのあおりを受けています。私が最後に走ったのは2019年10月の四万十川100kmウルトラマラソン。そのあとは、毎年出場していた大会も今のところ開催されず、今後の再開の見通しもたっていません。ただ秋以降いくつかのマラソン大会で開催に向けて動いているものもあるので、来年に期待したいところです。

ウルトラマラソンに挑戦してみたいという市民ランナーの方も多いと思いますが、大会の再開を待ちながら、今は本番に向けた準備期間ということにして前向きに取り組みましょう。フルマラソン未経験でいきなり100km、という例もなくはないですが、まずフルマラソン完走を経て、その上で100kmに挑戦、という前提で考えてみます。

ところで、ウルトラマラソンを走れるランナーとしての条件はあるのでしょうか。よく言われるのはフルマラソンを4時間程度で完走できる走力、というもの。100kmレースの制限時間は、長くて14〜15時間くらい。14時間だった場合、1km平均では8分24秒。フル5時間の1km平均タイムは7分程度ですが、100kmの場合、フルの1km平均から30秒〜1分プラスでかかると言われます。さらにコースのアップダウン、補給や休憩・着替え等の時間を考慮すると、5時間完走レベルではかなり厳しい挑戦になりそうです。

細かいタイムロスにはこだわらない

では5時間ランナーでは100kmは無理かといえば、完走している方もいます。要は走り方と、完走するための身体づくりと事前準備が必要になるということです。

フルマラソンをほとんど補給なしで走る人もいると思いますが、ウルトラは長丁場、途中の補給は必須です。フルの場合、レース中に消費されるエネルギーは2500Kcal程度といわれますが、100kmでは6000〜7000Kcalにもなるとか。これは事前の蓄えだけでは賄えません。レースの中で補給することが必要です。

レース中の水分の摂取も大切です。エイドステーションで立ち止まってでもしっかり行うこと。補給で1分2分かかるのを気にするあまり、摂取をおざなりにして終盤の失速でもっとずっと大きなロスをすることが往々にしてあります。トイレも大いに行くべきです。私もそうですが、世界大会でもトップ選手がトイレに寄ります。いい気分転換になるそうです。一時のタイムロスは気にせず、トータルの時間配分で考えることが大切です。

それにウルトラのコースは、どちらかというと自然豊かな環境の中にあります。その景色を楽しみながら、細かいタイムに囚われない大らかさが、ウルトラを走るコツともいえるでしょう。

次回は、100kmを走るためのトレーニング方法について、紹介します。

コラム:私がなぜ、ウルトラマラソンを選んだか

私は、2020年に東京・国分寺市の市役所勤務となりましたが、それ以前はプロランナーとして活動していました。フルマラソン、ウルトラマラソン両方を走っていますが、今の軸足は100kmにあります。

なぜ100kmか、その理由は、まず一つにウルトラが自分の身体特性に合っていたからです。フルマラソンを走っている時も、エネルギー切れになることがあまりなく、完走後も余裕があることが多いです。内臓も元気で、レース後にご飯が普通に食べられる。練習でも時々50km走をやっていましたし、より長い距離を走るのが自分には合っているということに気づいたんです。

また、もう一つの理由として、競技者として「社会的に価値のある走りをしたい」という思いがあります。現在の私のフルマラソンの記録だと、世界では何千番台とかになってしまいますが、100kmなら世界トップクラスの走りをできる可能性があります。2018年に挑戦した世界大会の予選では、世界記録を更新するペースにつききれず、代表選考から外れてしまいましたが、まだまだ自身の走力を伸ばす方法があると感じています。世界を見据えながらのチャレンジには、やはりワクワクするものです。

市民ランナーのみなさんも、「フルマラソンでなかなか結果が出なくなった」「記録が伸び悩んでいる」という方は、ウルトラマラソンで自分の新しい可能性を見つけられるかもしれません。ウルトラの世界に足を踏み入れてはいかがでしょうか。

トレーニング指導:川内鮮輝(かわうち よしき)

1990年生まれ。プロランナーの川内優輝さんを長男とする川内3兄弟の次男。四万十川100kmウルトラマラソン、隠岐の島100kmウルトラマラソン、柴又100kmなどで優勝。ベスト記録は、マラソン2時間15分50秒 (2021年びわ湖毎日マラソン)、100km6時間28分35秒 (2018年サロマ湖100kmウルトラマラソン)。