100K Ultra Training

初めてウルトラを目指す人にも!ベテランランナーにも!

image

いいのわたるコーチのウルトラマラソントレーニング

第3回 レース1カ月前~当日までの練習メニュー例

supported by ZAMST

いよいよレース1カ月前です。ここで最後の追い込みと思い前月と同じトレーニング量を積んではいけません。脚にはダメージが蓄積されているため、走力を落とさず上手に疲労抜きを行う必要があります。質を変えずに走る距離を減らすよう心がけてください。特に約100kmレースの場合は、レース10日前から量を十分に落としてください。また、レース当日に向けてウェアの擦れや圧着の確認、手持ちの補給食が食べやすいか消化しやすいかなどの確認もしておいてください。

そして見落としがちなのがエイドでの過ごし方。一度足を止めて休むと次の一歩が億劫になり、ついついエイドで長居をしてしまいます。エイドに着く10分前には、到着したらどの飲み物を飲む、この食べ物を補給する、靴を履き替えるなどを頭で整理して、余計な時間を過ごさないようにしましょう。

全体を通して10kmごとのタイムテーブルを用意するのもおすすめです。50~60km以降、ペースは徐々に落ちて行きモチベーションも下がってきます。落ち具合はレベルによって変わりますが、目安として10kmで5~10分タイムが落ちると想定しておくとよいと思います。予想タイムと実測タイムを比較して、レース中、飽きることなくモチベーションを保ちましょう!

●初級者 初ウルトラマラソン
~完走ぎりぎりランナー

200~250kmを目標に走りましょう! 前月に比べ50km落としました。

疲労抜きで距離を落としましたが、足に痛みがあるようでしたら更に距離を落としてください。痛みが大きい場合、主な事例として足底腱膜炎、シンスプリント、アキレス腱炎、腸脛靭帯炎があります(Web等で部位をご確認ください)。いずれもトレーニング直後にアイシングをすることである程度緩和できます。

また上記でも述べましたが、レースで着用するウェア関連はあらかじめ試しておいてください。特に腰ポーチやリュックを背負う選手は、肌との擦れはもちろん荷物の揺れを確認する必要があります。補給食や水分など、ある程度の重さがあるため、走行中に不快感を感じたり状況によってはフォームのバランスを崩して余計に体力を消耗します。擦れない程度にタイトに着用するのが私のおすすめです。

※ペース走:(ジョグペース ー 10秒)/km
※ビルドアップ走: 5km(ジョグペース ー 5秒)/km
 → 5km(ジョグペース ー 10秒)/km
 → 5km(ジョグペース ー 15秒)/km
※インターバル走:(ジョグペース ー 30秒)/km を 1km × 5~10本

●中級者 ウルトラマラソン経験者
~10時間切り目標ランナー

250~300kmを目標に走りましょう! 前月に比べ50km落としました。

ウルトラマラソンの経験者であれば、上記の故障を一度は経験された方がほとんどかと思います。改めてそれを教訓にし、トレーニング直後のアイシングは欠かさず行ってください。

そしてトレーニング量を減らしても疲労が抜けない、身体や足が重いという症状が出るランナーも多く見ます。その場合、私のおすすめは、あえてインターバル走1km×3~5セットをレースの前の週に取り入れることです。疲労抜きジョグでボテボテになっているランニングフォームがリセットされて、脚が軽くなります。100%の力ではなく80~90%の力で大丈夫です。ぜひ試してください。

※ペース走:(ジョグペース ー 10秒)/km
※ビルドアップ走: 5km(ジョグペース ー 5秒)/km
 → 5km(ジョグペース ー 10秒)/km
 → 5km(ジョグペース ー 15秒)/km
※インターバル走:(ジョグペース ー 30秒)/km を 1km × 5~10本

●上級者 9時間切り目標ランナー

300~350kmを目標に走りましょう! 前月に比べ50km落としました。

9時間切りを目標とされるランナーは、シューズ、ウェア、補給食対策、故障対策、疲労抜き対策をしっかりなされていると思います。そして、良いタイムを狙うためカーボローディングのことも考えられているかと思います。賛否両論ありますが、エイドが充実しているウルトラマラソンの場合、その必要性は低いと思います。9時間切りをされるランナーはそれなりにトレーニング量を積んできているため、脂質消費が大きくなります。体内の脂肪燃焼を優先的に行うことで糖質はエイドの補給食で十分であり、カーボローディングを行うのであれば、レース前夜と当日の朝食に消化のよい炭水化物を摂取すれば十分だと思います。

※ペース走:(ジョグペース ー 10秒)/km
※ビルドアップ走: 5km(ジョグペース ー 5秒)/km
 → 5km(ジョグペース ー 10秒)/km
 → 5km(ジョグペース ー 15秒)/km
※インターバル走:(ジョグペース ー 30秒)/km を 1km × 5~10本

 

トレーニング指導:ジャパンウルトラマラソンチャレンジシリーズ公認コーチ・いいの わたる

東京都出身。自動車設計技師としてドイツに駐在していた30歳の時、ダイエットのために走り始める。その後は、世界を舞台に極限の長距離走への挑戦を続け、国内のウルトラレースはもとより、海外のウルトラトレイルや砂漠マラソンで優勝・入賞を果たしNHK BS GREAT RACEで紹介される。コロナ禍でもチャレンジを続け、2020年東海自然歩道1140km、2021年本州縦断1550kmを走破する。