100K Ultra Training

初めてウルトラを目指す人にも!ベテランランナーにも!

image

矢田夕子コーチのウルトラマラソントレーニング

第9回 レースに近づくにつれレースと同じような環境で走る!

supported by ZAMST

身体ができてきたら、ウルトラランナーに大切なのは距離を走ること。
100kmなどのウルトラマラソンになればなるほど、長い距離のトレーニングをせずに迎えてしまった場合の後悔は大きいものです。

ただ、練習で長い距離を走ることは重要ではありますが、ただ長く走ればいいというものではなく

“レースと同じようなコースプロフィールで”
“レースと同じようなペースで”
“レースと同じような物(ウェア・シューズなど)を使って”
“レースと同じような補給食をとって“

というように、レースと同じような環境で走ることをお勧めします。

ウルトラマラソンのレースでも、平坦なコースなのか、アップダウンが多いのか、気温が暑い時期なのか、寒い時期なのかで身体への負荷は変化します。
それによってはレースの指標となる強度(ペースや心拍数)を変化させないといけません。
同じような負荷で走った時の身体の変化を前もって観察して、当日に活かします。

それから、レースと同じようなウェアやシューズで走っておくことで、当日に起こりえるトラブルも回避できます。
衣類による擦れが出ないか、汗冷えしないか、シューズによってマメができないかなど。
短い距離では大丈夫でも、長い距離でトラブルが出ないかよく確かめましょう。

また、補給食を試すことも重要です。
ウルトラマラソンでは必ず補給が必要になってきます。
ランニングしている時は、脚や腕といった動いている部分に血液が回りやすくなります。
そのため内臓への血液のまわりが減るので、消化機能が落ちます。
普段から食べて走らない方が当日いきなり食べることで、内臓のトラブルが起きやすくなります。
当日食べるであろう食品を、長い距離を走るトレーニングで試しておいてください。

初めてウルトラマラソンに出る方はもちろん、今までレースに出てきた方でも、レースと同じような『こと』『物』をちゃんと試してからレースに挑みましょう!

コラム:ランニング以外のトレーニングの重要性

ランナーは『走るトレーニング』しかしていない方が圧倒的に多いと思います。しかし、長距離のランニングの動きを考えると、ランニングというのは同じ動きをずっと続けるスポーツです。長い時間すごく身体を動かしているように感じますが、『人間の動き』と考えるとほんの一部を動かしているに過ぎません。偏った身体の動かし方になるので、同じようなところに負担がかかります。

パフォーマンスを上げるためには、怪我なくトレーニングすることが重要です。下記のようなトレーニングを取り入れ、身体全体をバランスよく鍛えあげるようにしましょう。

●可動域・・・関節の可動域を増やすようなトレーニング。重りを持ったスクワットなどもある意味、可動域を養えます。

●安定性・・・身体を安定させなくてはいけない時に安定できる能力を養う。安定性が勝手に出るような環境設定をしたトレーニング。ウォーターバックを背負って走るなどがあります。

●身体の強さ・・・ストレングスと言われる重さを持ったトレーニング。ムキムキになる必要はないが、ある程度負荷に耐えうる身体を作る。

●パワー発揮・・・早い動きの中で力を出すトレーニング。メディシンボールなどを遠くに投げるなどのトレーニングもあります。

●身体のコントロール・・・前後だけではなく左右や回旋といった方向に対して、自由に動けるスキル。

●ランニングのスキル・・・ランニング動作に近い動きの中で行うトレーニング。ランニングドリルなど。

他にも様々なトレーニングを取り入れることが重要です。ランニングのためにも、ランニングとは違う動きも入れていきましょう!

トレーニング指導:ジャパンウルトラマラソンチャレンジシリーズ公認コーチ・矢田夕子

実業団選手(パナソニック女子陸上競技部)を引退後、鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師の資格を取得し、2017年4月より東京都多摩市にトレーニング兼治療院施設「TREAT」をオープン。競技者としての経験も活かしながらトレーニング&ケアを市民ランナーに指導している。自身もトレイルランニング、ウルトラマラソンを中心にランナーとして活動中。2016年野辺山高原100kmウルトラマラソン・優勝。2019年サロマ湖100kmウルトラマラソン・8時間33分47秒。ザムストブランドアンバサダー。