100K Ultra Training
初めてウルトラを目指す人にも!ベテランランナーにも!
矢田夕子コーチのウルトラマラソントレーニング
第4回 スピードを出すことの重要性
前回、ベースを作るために走る習慣をつけ、慣れてきたらLSDなどをしましょうとお話ししました。ウルトラマラソンはフルマラソンなどに比べスピードはゆっくりです。ゆっくりしたスピードで走るトレーニングは想像がつくと思いますが、スピードを出すトレーニングも重要です。
スピードを出すトレーニングでは「出せるスピードの向上」を図ります。3’00”/km(20km/h)出せる人がウルトラマラソンで平均6’00”/km(10km/h)で走るのと、5’00”/km(12km/h)の走力の人がウルトラマラソンで平均6’00”/km(10km/h)で走るのとではキツさが違いますよね?
ですからウルトラマラソンであっても、「出せるスピード」は速くあった方が良いと言えます。
また、ゆっくりしたスピードのトレーニングはストライド長が短くなるため関節可動域が狭くなってしまいます。関節可動域が狭くなってしまうと場合によっては怪我しやすくなるので、その意味でも、ストライドの伸長が見込める「スピードを出すトレーニング」が必要です。
レースに近い時期ではなくベースを作っている時期に、一緒にスピードを出すトレーニングもしていきましょう。
具体的なやり方としては以下のようになります。速い動きを何度も行うことで、スピードやパワーを出すための神経系を鍛えます。
●普段インターバルトレーニングなどを行っている方
モータースキルトレーニングを行いましょう。50〜100m程度の距離を1本1本ご自身が出せるスピード“全力で”走ります。リカバリーは気にせず、しっかり落ち着いたら再度スタート。スピードを出すことをとにかく身体に覚えさせていきます。
強度の高いトレーニングになりますから、肉離れなどしないよう、始めは3〜5本とし徐々に本数を増やしてください。
●普段インターバルトレーニングなどでスピードを出していない方
全力ではなく、まずはウィンドスプリントを行いましょう。全力の70〜80%の速度で80m程度の距離を走ります。フォームを崩さず気持ちよくスピードに乗ることがコツ。3〜5本を数日繰り返すことができたら、モータースキルトレーニングに移行していきます。
モータースキルトレーニングもウィンドスプリントも、ウォーミングアップとクーリングダウンは必ず行い、怪我のないようトレーニングしていきましょう!
コラム:ウエアの選択
ウルトラマラソンの特徴というと運動時間が長いこと。走っている間に天候がガラッと変わることもありますし、肌寒い朝にスタートし、暑い日中走り、また肌寒い時間帯にゴール・・・ということもあると思います。 どんな天候でも対応できるようにウエアのバリエーションを用意しておきましょう。
【寒さ対策】
スタート時や、制限時間間際のゴール時などは気温が低くなることもあります。
- ウィンドシェル(小さくなるものがおすすめ)
- アームウォーマー
- 腹巻(お腹が冷える人)
【暑さ対策】
制限時間の長いウルトラマラソンでは、日中の暑さ対策、また紫外線疲労への対策が必要です。
- 通気性のよい帽子
- アームスリーブ
- サングラス
合わせて日焼け止めもあった方がよいです!
他にも、
- 汗冷え対策としてベースレーヤー
- 脚への張り付きがないような速乾性のあるパンツ
- 疲労などへの配慮としてコンプレッションウエア
などもよいと思います。
そして一番重要なのは、なんといってもこれらを『トレーニング中に試す』こと!
レース当日の気分を盛り上げたくて新しいものを使いたくなる人も中にはいると思いますが、新しいものはトラブルの要素が高いです。 シューズはもちろん、ウエアについても、擦れが出ないか? 冷えないか?など、トレーニング中に必ず試しておきましょう。
トレーニング指導:ジャパンウルトラマラソンチャレンジシリーズ公認コーチ・矢田夕子
実業団選手(パナソニック女子陸上競技部)を引退後、鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師の資格を取得し、2017年4月より東京都多摩市にトレーニング兼治療院施設「TREAT」をオープン。競技者としての経験も活かしながらトレーニング&ケアを市民ランナーに指導している。自身もトレイルランニング、ウルトラマラソンを中心にランナーとして活動中。2016年野辺山高原100kmウルトラマラソン・優勝。2019年サロマ湖100kmウルトラマラソン・8時間33分47秒。ザムストブランドアンバサダー。